INTERVIEW CHIFUNE


Slider

Vol.1 Vol.2 アカマトシノリ ドウメンヨウヘイ チフネシンゴ

-チフネシンゴ-


HOTSQUALLのブレインとして俯瞰的視点で周りを見渡しながら、サウンドの中核を担うチフネシンゴ。数々のロックの洗礼を大切にしながらも、常に新たなモノを吸収しながら数多くのグッドメロディーと歌詞を生み出してきた。サウンド面のみに留まらず、ギタリストやバンドマンとしても含め、これから見据えるビジョンについて力強く語る姿が頼もしい。

interview by ヤコウリュウジ

負担と感じるどころか、そこはどんどんやっていきたい

ーーチフネさんはHOTSQUALLの曲作りにおいて中核を担っていますが、結成当初からそうだったんですか?
チフネ
最初は特にそういった役割分担をしたわけじゃなかったんですけど、みんなでどんどん曲を作っていこうとなったとき、オレがメロディーや楽曲のアイディアを提案することが圧倒的に多くて。2人もネタを作ったりはしてたけど、みんなでどの曲をやっていこうとかの話をする中で、オレが作る曲のネタが採用されていくことが自然と多くなっていって、いつしかそういう役割になっていきましたね。ただ、2人ともオレを信頼してくれてるからそのバランスできてますけど、それぞれが曲作りは全くやらないというわけでもないですよ。特に、アカマは自分でも曲のネタなんかはよく考えてきてるし、以前からバンドへアイディアを持ってきたりしてるので。
ーーそれこそ、Queenじゃないですけど、メンバーそれぞれがソングライティングをするのが理想?
チフネ
そうですね。最初はやっぱり、The Beatlesもそうですし、メンバーそれぞれが独立した音楽人としての才能を持っていて、意見やアイディアを交換し合うというのは、これぞバンドみたいな感じがして憧れましたよね。そのメンバーならではの視点があって、たとえ同じようなアプローチだとしても異なる曲ができていったり、思いもよらないアイディアで曲が化けたりとかっていうのは、なんかカッコいいじゃないですか(笑)。
ーー自分が曲作りの中心になることに関して、負担だと思うようなことはあります?
チフネ
いや、でもそれはないですね。そもそも、オレがバンドをやりたいと思った根本的な原動力もクリエイティブなことをやって表現していきたいという気持ちが強かったからですし。負担と感じるどころか、そこはどんどんやっていきたいです。ライフワークと言ってもいいですね。そういう部分で自分自身をもっともっと成長させたいとも思っているので。
ーー結成当初と現在を比べて、曲の作り方や考え方は変わってきましたか?
チフネ
変わってはきてると思います。良くも悪くも、というところもあるんでしょうけど。昔で言うと、バンドや曲作りに対して、物凄くシンプルにしか考えてなくて。ただ単純に自分が好きなことだったり、今これを表現したいってことだけにフォーカスしてて。言ってしまえば、シーンや流行りや自分たちの状況なんて全く気にしてない。HOTSQUALL節なんていう意識すらない(笑)。だからこそ、逆に振り返るとよくこんな痛快な曲たちができたなと思ったりもしますけど。今は、多少はいろんなことを考慮したりしますね、無意識の中でも。もちろん、経験を積んだ分、技術や表現力は上がったっていう自負もありますけど。
ーー影響を受けて、自分の中で軸となるような音楽はずっと同じですか?
チフネ
はい、そうですね。好きなモノをさらにグッと掘り下げたり、そこから広げたりはするけど、オレの場合は根底にあるモノが変わることはないです。やっぱり、ロックを感じるモノが好きなんですよ。バンドとしてのThe Beatlesが好きですし、音楽的な色合いとしてはオールディーズの雰囲気とかが好き。無条件に自分にハマってるというか。きっと、ハイスタにもそれを感じて好きになったんですよね。

それを曲に乗せて強く主張するみたいなバンドの性格じゃなかった

ーーちなみに、HOTSQUALLのオリジナル曲の最初は?
チフネ
え~と……題して「This is a pen」だった気がします(笑)。
ーーエグいですね、それ(笑)。それは何についての曲だったんですか?
チフネ
何か、それなりのメッセージ性があったような……武器じゃなくて、ペン。つまり、歌詞のメッセージで戦うんだ、みたいな。後付けっぽいけど(笑)。
ーーいちばん最初からメッセージ性は気にしてたんですね。バンドの初期って、ノリ重視でそういったことは二の次なことも多いですけど。
チフネ
それも理解できます。シンプルに音として、語感で勝負してるみたいな音楽も大好きなので。ただ、日本人であるオレらが英語でやるのはノリや語感を大事にする為だったりするのに、いざ日本語和訳を読んだときにまでメッセージ性があまり出てこないっていうのがオレは嫌だったんです。メッセージ性を全面に打ち出して共感を求めすぎるのも個人的にはちょっと違うんだけど、例えば夢や希望とか、誰かが好きだとか、切ないとか悲しいっていう曲の持つテーマ、そこはちゃんと伝えないとって思うんですよね。
ーーそういった歌詞について、どういったところから影響を受けましたか?
チフネ
いろいろとありますけど……そのあたりもまずはThe Beatlesがデカかったかな。初期の、アイドル性が強くてイェイイェイとラブソングを歌ってるテイストも大好きなんですけど、後期以降にそれぞれがソロ活動をし始めるとさらにメッセージ性が強烈になっていって。それこそ、解散後のジョン・レノンなんて特に露骨だし(笑)。日本の音楽シーンでも60年代や70年代はフォークソングとかで歌詞に強いメッセージを乗せて表現する時代があったと思うんです。で、オレらの年代って多感な青春時代が90年代だから、生活の中で目や耳にするのが90年代のJ-POPなわけで。CDが売れまくる時代だったし、いい曲もたくさんあったけど、そこにはあんまりオレたち若者がドキッとするような歌詞は少なかった気がします。社会というか、時代の風潮でしょうけど。そんな中で、自分で聴き漁った海外のロックのレジェンドたちのアプローチが超かっけぇって感じたんですよ。
ーーとは言っても、初期のHOTSQUALLにはそういった先導するような歌詞はなかったですよね。
チフネ
ないです、ないです。いきなりそういうのをダイレクトに表現しようと思ったわけでもなくて。もちろん、当時も自分なりに社会や人生に対して思うことはいろいろあったけど、それを曲に乗せて強く主張するみたいなバンドの性格じゃなかったってことでしょうね、メンバーの性格的にも。ただ単純にみんなで音を合わせて楽しいっていうので精一杯みたいな(笑)。ただ、いつかはそういうことをバンドで発信できるようになるのもカッコいいなという気持ちはありました。あと、歌詞についてだと、オレはサザンオールスターズも大好きだから、桑田佳祐さんからも多大な影響を受けてますね。周知の通りメロディーの幅もとんでもなく広いんですが、それに歌詞を乗せる際のリズム感と語感が神がかってますよね。聴いてて気持ちいい。で、特に意味のない言葉の羅列かと思いきや深い意味があったりとか。あと、ソロ作品だとちょっとダークなことを朗々と歌詞に綴ったりもしてて。とにかく、純粋なラブソングもエロも風刺も、リズミカルに交錯しつつ絶妙なバランスでメロディーにハマりまくってて、いつもビビってます(笑)。

曲に寄り添ってギターをカッコよくちゃんと鳴らせるギタリストが好き

ーーバンドインタビューの際、HOTSQUALLはデビュー後にポップな面ばかり注目され、フラストレーションが溜まったという話がありましたよね。そういったところを最初に打ち出したのは、サザンの影響もあったり?
チフネ
あ~、どうなんだろう……オレらの持つ明るい感じというのは、たぶん初期The Beatlesのイメージから来てるのかな。原点はそこで、走り出しはハイスタのコピーバンドですからね。そりゃネガティブな感じにはならないのかなと(笑)。とにかくシンプルなバンドスタイルで、前向きでエネルギッシュにイェイイェイしてるっていうのが好きで。自然体でカッコつけないことがカッコいいというのを強烈に喰らったし。自分たちにはその感じが似合ってるとも思いました。だから、今でもそういう音楽が好きだし、パンクバンドにはそういうバンドが多いから好きですね。
ーーその後、明るさだけじゃなく、シリアスなところにも踏み込んでいくわけですけど、HOTSQUALLの軸としてはどちらなんですかね?
チフネ
どっちもですね。どちらも好きですし、基本的にはなんでもアリだと思ってますよ。オレも雑食で何でも聴きますしね。ただ、暗黙で意識としてあるのは、HOTSQUALLはネガティブなことは歌わないってことですかね。これはメンバーの性格の共通部分によって、それがバンドの性質そのものになったような感じですね。軸について言及するとしたら、割と後になって気づいたことですけど、熱くて力強くて胸にググッととくるみたいなところがオレらの軸であり核なんだと思います。もう少しアッパーで明るくチャーミングな曲があったり、逆にしっとりめのバラード調だったり、さらに感情的にブッ込んでいく曲もあったりするけど、とにかくド真ん中には決定的な熱量があること。それがオレらのバンドとしての重要なアイデンティティだと確信してます。
ーー当然のことながら、長年バンドをやっていくと、メンバーが歌ったり、演奏することが前提の曲作りになりますよね。そういったところでイメージが制限されるようなことはありませんか?
チフネ
たしかに、少なからずそういったこともあるとは思います。最初は何も考えずに作っていましたが、やっていくうちに、自分たちの技術もそうですし、イメージや武器となるモノを考えるようになりましたから。そこで窮屈さを感じたこともあったし。ただ、自由な発想を持つことに越したことはないんですが、今はその、このバンドで出来る範疇みたいなモノが逆にバンドの個性になればいいと思うようにもなりましたね。
ーーHOTSQUALLという範疇を取っ払って、曲作りをしてみたいと考えることは?
チフネ
個人的な興味として、それは凄くあります。もともと、イメージを湧かせて制作するのが好きなことだし、機会があればいくらでも挑戦してみたいです。
ーー様々な音楽から刺激や影響を受けるわけですが、それを通り越して、自信が喪失するような驚きがあったモノは何かありますか?
チフネ
さすがの質問ですね(笑)。実はColdplayが大好きなんですが、新曲を聴くたびに喰らってます。
ーーColdplayのどういったところに驚きを感じます?
チフネ
あの世界観ですかね。あそこまで表現して、それでいてみんなをノセまくれちゃうのが凄いなと。それに、オレたちではできないことをやっているところにも憧れたりします。あと、今の気分で1曲を挙げるとするならば、The Beach Boysの「GOD ONLY KNOWS」ですかね。サーフサウンドと思われてる中で、あの神が生んだメロディーと言われてる美しすぎる旋律が神々しくて。コード進行も理解不能です(笑)。
ーーでは、ギタリストとして特に影響を受けてるプレイヤーはどなたになりますか?
チフネ
好きなのは、The Beastleのジョージ・ハリスン、ギタリストとしてのジョン・レノン。他にも、Ramonesのジョニー・ラモーン、エリック・クラプトン、NOFXのエル・へフェ、斎藤誠さん、SAのNAOKIさん等々、たくさんいるかな〜。その中でスタイル的なところの影響は、言わずもがなハイスタの(横山)健さんですね。とにかく、超テクニカルなモノを魅せるというよりも、曲に寄り添ってギターをカッコよくちゃんと鳴らせるギタリストが好きなんですよ。
ーー随分昔のライヴを思い返せば、チフネさんは健さんに似た動きもしてましたよね(笑)。
チフネ
19歳くらいの頃、ハイスタのコピーバンドをしてたときはみんなで必死に真似してましたからね(笑)。
ーー憧れに吸い寄せられていたというか。
チフネ
バンドでもなんでも最初はそれでいいと思うんです。それこそ、メンバーしかいないスタジオ練習なのに、まるでライヴみたいになぜかMCまでなぞったりしてました(笑)。で、その影響はそのまま自分を構成する栄養として残しつつ、その後は近づこうとも離れようとも特に意識してません。そこはナチュラルに自分らしく、とにかく自然体でジャーンとギターを鳴らすだけでカッコいいギタリストになりたいと思ってます。

その絶妙なバランスを保ったまま、個々が縦横無尽にライヴへ臨めたら最高

ーー近年、HOTSQUALLのライヴはかなり熱っぽくなってきたと感じています。そんな中、メンバー3人が担う役割はどういったモノがいいと考えていますか?
チフネ
まず、アカマは熱の塊みたいなヤツであって欲しいです。完全にオリジナルであって、誰にも真似できないぐらい突き抜けてほしい。昔のアイツは自分が燃えたぎることに精一杯で周りが見えなくなってたり、バランスを保てないこともあったけど、そこからたくさん話し合ったりもして、今は自分がどうあるべきなのか、かなり理解してくれてると思います。バンドとしては、高い次元で上を向いて、観ているみんなを熱と共に連れて行く気流のようなライヴをしたいので、しっかりとベース・ヴォーカルという立ち位置を担った上で、みんなを先導するような存在になって欲しいですね。
ーーでは、ドウメンさんについては?
チフネ
昔からアイツはドラムの技術は高いと思うんだけど、いかんせんポーカーフェイスなので渋く見えちゃってた部分もあると思うんです。だから、これからはドラムを叩いてる姿がカッコいいドラマーになってくれたらいいと思います。ズバッと動きのキレを魅せるというか。それ以外の部分に関しては、あの超人的なマイペース込みで、ゆるキャラみたいな愛され方をしてもらえたらいいんじゃないでしょうか(笑)。
ーーご自身についての課題に関しては、いかがですか?
チフネ
技術です。もっと上手くなりたいですね。ギターのサウンドだって、もっと追求したいし。だから、練習あるのみですね(笑)。あと、もっとオレもMCでみんなに(想いを)伝えたほうがいいのか。それはアカマに任せた方がいいのか。個人的にそこはよく考えてたりもします。HOTSQUALLは3人それぞれがまったく違うキャラクターで構成されていてそれが同じ目的に目線を合わせてるのが面白いと思うので、その絶妙なバランスを保ったまま、個々が縦横無尽にライヴへ臨めたら最高ですね。
ーーバンド活動を続けていくと、ある種のルーティンになっていく部分があるじゃないですか。ライヴ、曲作り、リリース、ツアーがグルグルとただ回っていくような。
チフネ
あ~、そう感じるときもあるし、頭を悩ませる部分ですね。やっぱり、オレら自身も同じことの繰り返しだと退屈になってしまうので。
ーーそうなったとき、どうやって打破していこうと思いますか?
チフネ
まずは自分たちにとって、刺激があるようなやり方を模索して、選ぶようにしてます。例えば、今回のシングルを3ヶ月連続でリリースするのもその一環だったり。2曲ずつ収録しての3作品だから、普通にミニアルバムとして発表することもできるんです。でも、それはこれまで何度もやっていますから。こんな時代だからこそ、CDというモノを大切にして欲しいという願いもこめて、3作品を手に入れて並べて、通して何度も聴いてくれたら嬉しいなと考えたんです。
ーーシングル3部作の詳細についてはまた別の機会に語っていただくとして、全体的にはどういったイメージで制作されましたか?
チフネ
1作品ごとに風合いやイメージを振り分けつつ、一貫したテーマとしては底抜けな爽快さですかね。これは一聴してもらえればわかってもらえると思ってます。
ーー20周年を記念して、シングル、オニオンと予定されていますが、夏以降はどういった予定やアイデアがあります?
チフネ
20周年ツアーをまわりたいですね。全国のみんなにありがとうの気持ちを持って会いに行きたい。もちろん、それ以外にも考えていることがあるので、ぜひ楽しみにしていて欲しいです。
ーー来年以降もバンドとしてさらに進んでいくとき、よりどういったバンドになっていきたいと考えていますか?
チフネ
こういったインタビューの度に口にしてることではありますけど、ポジティブになれる音楽を熱量全開で爆発させて、みんなでとことんハッピーになれるバンドですね。
それって軽いノリでやれる話じゃなくて、圧倒的な熱量とパワーが必要だと考えてます。やっぱり、生きていると良いことばっかりじゃないし、悩んだり挫けたり嫌になることもあるわけで。それを少しでもハッピーなモノにするためには、強烈なパワーがないといけないと思う。それって、ライヴでとにかく汗をかかなきゃいけないとか、ムチャクチャするっていう意味じゃなくて、心の持って行き方としてのことなんです。そこには熱量やパワーが不可欠だと思ってるんです。だから、前向きにその力を思いっきり蓄えて爆発させて、みんなで上昇気流に乗ってとことんハッピーになる。それが今思うHOTSQUALLというバンドが目指すべき姿ですね。
interview by ヤコウリュウジ

Vol.1 Vol.2 アカマトシノリ ドウメンヨウヘイ ドウメンヨウヘイ